老化で歯が抜けてしまうことはありません。
歯を失う大半の原因は、虫歯と歯周病です。
歯を失うまで治療をしない人は滅多にいません。
歯を失う本当の理由は、不適切な虫歯の治療と不十分な歯周病の治療です。
その為には歯周病やその治療とはどういうものなのか知っておかなければばりません。
ここでは、「女性特有の歯周病のリスク」について説明します。
女性特有というのが女性にとっては嫌ですよね。
だからこそ気をつけてください。
思春期の女性の歯肉の炎症
女性であることは、それだけで歯周病のリスクであるといえます。
月経にともなって周期的に歯肉に炎症が起こりやすい人もいます。
それは、プロゲステロン(女性ホルモンの一種の黄体ホルモン)が多くなると、歯肉に炎症を起こし
やすくなるからだと考えられています。
プロゲステロンは、排卵後から月経前までの期間に多く分泌されるので、月経の7〜10日前には歯肉から出血し
やすくなることがあるようです。
また、女性の歯肉で特徴的に繁殖する細菌もいます。
女性ホルモン(エストロゲン)を特に好んで繁殖する細菌で、この細菌も歯肉の炎症に関係しています。
このような時期には普段よりも密度の濃いブラッシングとPMTC(プロフェッショナルメカニカルティースクリーニング)
で炎症を防ぎましょう。
妊娠時の歯肉の炎症
子供を産むと歯が悪くなると昔から信じられてきました。
その確実な証拠はありませんが、女性特有のリスクが色々とあることは事実のようです。
妊娠女性の約30~70%は、歯肉の異常(腫れ、増殖、血が出やすい)を示しています。
一般に炎症や腫れが強いのは妊娠の初期から中期です。
これはホルモンの影響で歯肉が炎症を起こしやすくなっている為だと考えられます。
ひどい歯肉の炎症は、プラークコントロールによって防ぐことができますが、つわりの時期(妊娠初期の5週~15週)に
は、食事が不規則になり、お口の中の清掃も難しくなるので、炎症が悪化しやすいといえるでしょう。
また、妊娠中期になると、ホルモンの影響で歯肉に隠れた細菌の種類も変化してきます。
妊娠3ヶ月の頃に歯肉が大きく腫れる(妊娠性エプーリス)例もあります。
閉経期の問題
多くの女性は、月経周期が不順になる閉経期から閉経後(いわゆる更年期)に様々な身体の不調を経験しますが、
この時期にお口の中の灼熱感を感じたり、お口が渇くという症状を訴える例があります。
涙や唾液が出なくなるシェーグレン症候群(自己免疫疾患といわれる一群の病気の一つ)と呼ばれる病気の発症も、
この時期の女性に集中しています。
粘膜が乾燥すると、たえず痛みや不快感に悩まされますので、唾液線を刺激するガム(キシリトールを甘味料に
使ったもの、そしてショ糖の含まれていないもの)や人工唾液(人工的に作られた口腔潤滑剤)などを試してみると
よいでしょう。
高齢になって骨密度が下がると
骨はその内側で、溶けたり増えたりを繰り返していますが、高齢になるとそのバランスが崩れて、骨の密度が
下がり、骨がスカスカになる傾向があります。(骨粗鬆症-骨の強度が低下して、骨折するリスクが大きくなる
病気を骨粗鬆症(こつそしょうしょう)といいます。骨粗鬆症になると、骨の中がスカスカになってもろくなり、
ちょっとしたことで骨折しやすくなります。)
特に閉経後の女性は、急速に骨密度が下がる傾向があります。
若い頃にカルシウムの摂取量が少なく、運動量の少なかった女性は、もともと骨密度が低いので、高齢になると
骨折しやすくなります。
歯周病は、歯の周りの骨が溶けてしまう病気なので、骨がスカスカの状態は歯周病の進行にとって大きなリスクと
なります。
深刻な骨粗鬆症の場合は、ホルモン補充療法(更年期症状や更年期障害の治療の為に、閉経前後に体内で不足
してきた女性ホルモン(エストロゲン)を補充する療法)を受けますが、生活習慣の改善が有効です。
骨粗鬆症をひどくする原因の一つは喫煙です。
喫煙本数が多いほど骨密度が下がることがわかっています。
禁煙して緑黄色野菜を十分に食べる習慣は、骨粗鬆症の進行にブレーキをかけるばかりではなく、歯周病の
予後やインプラントの予後、口の傷の治り具合にもプラスになります。
最後に
病気や仕事などでもそうですが、不具合が起こってからでは遅いのです。
だから人は予防という行動をとります。
しかし、人は今すぐ直面する危険性が高くないと、予防するという意識が起こらないのが実情ではないでしょうか。
だからこそ、歯周病になるという実績をつける前に、歯周病にならない知識をつけていただく為の情報を
発信するのも、セイノ歯科医院の役目だと感じております。
もし、気になることがあって、「聞きたい」「相談してみたい」と思ったら、大分県別府市野口元町のセイノ歯科医院にご連絡またはお越しください。